平成12年度 教育実習終了論文

2001年 1月11日

 

 

 

 

 

 

学校教育におけるメディアの積極利用に関する調査研究

―英語科授業におけるメディア教育の推進―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明海大学 外国語学部 英米語学科

学籍番号:32009002 氏名:溝端 陽太郎

 

 

 

 

 

 

指導教員:浅羽 亮一


目次

 

序章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

 

第1章 研究の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

           第1節 メディアについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

1.1.1       メディアとは何か・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

1.1.2       メディアの変遷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

1.1.3       メディアの種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

第2節 マルチメディアの時代へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

1.2.1      コンピュータの変遷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

1.2.2      コンピュータの発展・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

1.2.3      巨大ネットワーク(インターネット)誕生・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

第3節 メディアと教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

1.3.1      メディア教育について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

1.3.2      メディア教育の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

1.3.3      メディアリテラシー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

1.3.4      メディア教育の分類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

1.3.5      メディア教育の実践例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

1.3.6      メディア教育の未来・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

 

第2章 問題の設定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

第1節     メディア利用の英語教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

2.1.1      メディアを用いた英語教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

2.1.2      英語教育におけるインターネット利用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

2.1.3      メディア利用の英語教育の問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

第2節     研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

第3節     研究課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

 

第3章 調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第1節     目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第2節     研究方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第3節     調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

3.3.1      被調査者の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

3.3.2      埼玉県立彦糸中学校での調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

3.3.3      明海大学外国語学部英米語学科での調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

 

第4章 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

第1節     調査結果の検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

4.1.1      彦糸中学校での調査の検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

4.1.2      明海大学での調査の検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

4.1.3      パソコン環境について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

4.1.4      メディアを用いた教授に関して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44

4.1.5      実習校のメディア環境の実態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45

第2節     研究課題検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

 

第5章 結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

 

参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54

 

付録T (調査票)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58

 

付録U 卒業論文修了論文 CDROM版・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60

 


序章

 

埼玉県三郷市立彦糸中学校。公団の集合住宅の一角に位置するこの学校は、回りを田畑で囲まれ、都市と田舎が共生する地域にある。実はこの学校は、私が中学時代に3年間お世話になり、そして今年再び足を運び入れた学校である。教育実習である。2週間ではあったが、生徒諸君と共に過ごした、忙しくも充実した日々は私を豊かにしてくれた。

この13年ぶりの母校だが、気になっていた事が1つあった。それは、「コンピュータ」についてである。いま教育界では、2002年度より施行される新学習指導要領への移行期間の真っ只中である。その新しい学習指導要領では、「総合的な学習の時間」が新たに新設され、教科の枠を越えた総合的・横断的な学習が進められる。例えば、国際理解の一環としての英語教育や、環境問題、職業体験など地域に即した学習を学校全体や教師の判断において、自由に設定することが出来る。これにより、教師自身の力量が今以上に問われる時代になった。この「総合的な学習の時間」において、パソコンのようないわゆるニューメディアは、1つのキーポイントして位置付けられている。なぜなら、児童・生徒たちが、自ら課題を設定し、調べ、まとめる道具としてパソコンは大変貴重な存在となる。更に、急速な情報化の中で、情報教育も今まで以上に学校教育に求められている。

わが母校、実際の教育現場で一体どの程度ニューメディア(パソコンやインターネット・電子メール)が利用できる環境にあり、どのような事ができる状況なのか大変楽しみであった。しかしながら、実際の教育現場(母校においては)私の予想を大幅に覆す結果であった。コンピューター・ルームと称する教室には56年前の機種が十数台並び、MS-DOS(Windowsの前身)を身にまとったお宝?が転がっていた。愕然とした。日進月歩のマルチメディアの世界で、ここだけ時間が止まっているようであった。 さすがに、このコンピュータはほとんど使われずにいるが、「来年度には、予算が出るので数台購入する」と案内の教頭先生から伝えられ、胸を下ろした次第である。

彦糸中学校ではコンピュータを現在はまだ利用できる環境ではないのだが「総合的な学習の時間」は行われており、国際理解、環境、地域社会の学習を、自らテーマを設定し、自ら調べる事が始まっている。しかし情報収集の手段の1つとして説明のあった「インターネット」は、「一体どこでつかえるの?」と考えてしまった。

21世紀を迎え人間とコンピュータの関係はますます密接に、そして、切り離せなくなる時代により一層近づく。それを証明することが今年の初めに起こった。西暦2000年問題である。この大変な騒ぎを引き起こしたことが証明するように、もうすでに日本社会はコンピュータに支配されているのである。その日本社会の次代を担う児童・生徒らに、コンピュータに対するアレルギーを作らず有益な情報を収拾選択できる技能を授ける義務がこれからの教員にはこれまで以上にあるのではないだろうか。また、インターネットなどの世界規模の交流が始まり、より国際語としての英語も今以上に注目される。これからの英語教員は、より一層コミュニケーションを重視した教授法を習得しなくてはならない。

今回の調査研究で、メディア教育、特に英語教育とメディアについて最新の動向とともに、メディア教育と英語教育の融合をさぐり、この2つの技能を効率よく教授・学習するべくメディア教育の推進を提案していく。


1章 研究の背景

 

第1節 メディアについて

本節では、すでにカタカナ語として定着している「メディア」について見ていく。メディアという言葉の概念をまとめ、教育史上におけるメディアの役割を見ていく。

 

1.1.1 メディアとは何か

私たちは、普段より何気なくメディアという言葉を見聞きし口にしている。すでに日本ではこの外国語のMediaという言葉は日本語に取り込まれカタカナ語として使われ定着している。しかしながら、本来のこの言葉が意味することは抽象的で解かりにくい。一般的にいえば、テレビや新聞といった大衆向けのマス・メディアがあり、個人的に録画を行ったテープなどもメディアである。そのメディアとは、「(media)〈ミディア・メジヤ〉手段、媒介物。特に、マス‐コミュニケーションにおける、ラジオ、テレビ、新聞、雑誌などの媒体をいうことが多い。」(Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ©Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版小学館1988)といえる。

では、実際に「メディア」とはどういうことなのだろうか。このメディアという言葉を定義する事は、多様な解釈ができるため難しいといわれる中で香内ら(1989)は、メディアを次のように説明している。日常生活の中に「メディア」という言葉が用いられたのは、1920年台のアメリカにおいて広告業界誌の中で、広告媒体(advertising media)のように使われたのが始まりとされる。また、井上(1998)によると、「メディア(media)は、英語のミディアム(medium)の単数形であるのだが、日本語としては単数、複数の区別なしにメディアという言葉を使っている。」と、いくつかの事例とともに特徴の説明を試みている。そして、井上(1998)は、mediumの日本語訳である、中位、媒介物、媒体、媒介、手段、媒質、霊媒、平均値、といった意味から、あいだを取り持つもの、あいだに入って何かを伝えるもの、というようにその意味を抽象化し、「何かあるメッセージを発信するものとしてとらえれば、なんでもメディアと考える事ができる」と結論付けている。

今回の論文では、メディアという幅広い概念のうち「マルチメディア」に主眼を置き進めていく。マルチメディアとは、Babylon英日辞書によると、「コンピュータを利用して画像や音声など様々なデータを統合・処理・管理すること」である。このマルチメディアについては、第2節以降で詳しく見ていく。

 

1.1.2 メディアの変遷

元来人間は、話す手段を用いて他者とのコミュニケーションを図ってきた。メディアの発達していない当時は、言葉から言葉へとメッセージが伝えられた。この口頭文化は、いつの時代でもコミュニケーションの基本となるものであり、現在においても中心的なコミュニケーション手段であることは変わらない。口頭文化に続き私たち人間は、文字の開発、発展、発達に伴い、書く手段も備わっていった。

このような極めて限られたコミュニケーション環境の中、印刷機の開発によりコミュニケーション活動は一変した。このコミュニケーション史上のメディアに関する歴史的イベントは、1450年ごろにゲーテンベルグが活字印刷を企業化したことである。この印刷術により、書物の流通が加速し、新聞や聖書といったメディアが急速に普及していった。

そして、1900年後半より写真、映画、レコード、ラジオ、テレビなどの視覚、聴覚に直接的に表現される複製メディアが登場する。

現在ではこれらの基本的なメディアのほかに、マイコン、パソコン、デジタル放送、ケーブルテレビ、インターネットなど、様々なニューメディアが急速な勢いで成長を遂げている。いわゆる「マルチメディア」の登場である。

 

1.1.3 メディアの種類

では、具体的にどういったメディアが存在するのであろうか。メディアの世界を総合的に分類する事は、現代社会において日進月歩で成長しているメディアの特性を踏まえると極めて難しい。そのなかで、井上(1998)は、メディアをその技術的特長から3つに分け、さらに媒介手段により分類を試みた (1)。まず井上(1998)は、「空間系」「ハードコピー系」「ソフトコピー系」とそのメディア自体の特徴に分類し、さらにそれらをメディアの発信がその場で終わる性質である「単体系」、テレコムのメディアである「無線系」「有線系」に分類しメディアの特徴を表した。しかしながら、日々メディアは進歩し流動性のある特徴から、井上(1998)が言うように「メディアの融合と結合が進む中でそうした図式を書くことはとても難しい。」のである。


井上(1998) p55

第2節 マルチメディアの時代へ

本節では、現代の主要なメディアである「マルチメディア」についてみていく。マルチメディアとは、「コンピュータを利用して画像や音声など様々なデータを統合・処理・管理すること」である。

 

1.2.1 コンピュータの変遷

現代マルチメディアの代表格であるパソコン(personal computer)は、1946年にジョン・マーキュリーとジョン・エッカートが、アメリカ政府より依頼され極秘に軍事目的に利用するコンピュータの開発を行し、この陸軍弾道研究所において弾道計算に使用する目的で作成されたものがコンピュータの始まりといわれる。このコンピュータはENIAC(Electronic Numerical Integrator and Calculator)と呼ばれ、真空管18800本、リレー1500個からなり、広さ150平方メートル、重さ30トンの巨大な電算機であった。ENIACは、1秒間に5000個の加算を行い、従来20時間程度かかる計算機を用いて行っていた作業をわずかに30秒足らずで行った。しかしながらENIAC自体は演算を実行させるプログラムを記憶できず、外部に接続してある制御パネルの配線を一本一本行わなくてはならなかった。

その後は、新しいコンピュータが次々に開発・改良されていった。まず、プログラムを内蔵させる「EDVAC(electric discrete variable computer)」や「EDSAC(electric delay storage automatic calculator)」が開発された。そして、その後も進化は続きトランジスタやダイオードを用いた半導体コンピュータの時代へ移行する。

 

1.2.2 コンピュータの発展

トランジスタの発明により真空管を主として利用していた時代よりも大幅な小型・軽量化が進み、技術力の向上とともにコンピュータの性能も格段に進歩していった。また、IC(integrated circuit)と呼ばれる集積回路が発明され、回路の小型化、処理の高速化が急速に進んだ。

そして1980年代後半よりパソコン(Personal Computer)が開発され、次々と新製品が作られ技術の革新が急速に行われていった。その結果、性能が向上し、また価格面も消費者の手が届くところまで下がり各家庭へと普及していった。

現在、我が国における家庭へのパソコン普及率は、95年の16.3%から98年には32.6%に増加している。(郵政省「通信利用動向調査」平成113月末)。そのことを示すように、ここ数年来のパソコンブームには目を見張るものがある。WINDOWS最新版の発売日には夜中の12時にもかかわらずあちらこちらに行列ができ、社会現象の1つとなった。社会全体も情報化されていき、会社でもパソコンを使えるようにと追い立てられ一気にパソコン好景気につながった。

 

1.2.3 巨大ネットワーク(インターネット)誕生

インターネットとは、世界中に散らばっているコンピュータが通信回線で結ばれているネットワークのことである。小規模なネットワークがいくつも相互につながり、次々にその接続が増えていき、今の巨大なネットワークが誕生した。このインターネットは、もともとアメリカにおいて軍事目的で核戦争などの緊急時においても連絡可能にするため、その手段として通信ネットワークが作られたのが始まりとされる。そして、そのネットワークが1980年台に学術ネットワークとしてそれらを利用する人のボランティア的な協力により大学間でネットワーク接続が開始され急速に広がっていった。現在では、商用サービスが発展して大学や企業の研究者に限られていたネットワーク利用者も、一般市民へと広がっていった。そして、大学や公立の図書館、博物館、放送局、商用データベースを初め、個人もホームページをネットワーク上に開設し「計算機の遠隔共同利用と研究者相互コミュニケーションのために始まったインターネットは、今や世界中の様々な情報が流れるまさに『情報スーパーハイウェイ』へと変化してきている。」水越(1999)という時代である。

そのインターネットの利用状況は次の通りである。現在の我が国におけるインターネット利用者は約1700万人といわれている。また、世界のインターネットホスト数は約4,300万台であり、世界のインターネット人口は約1億6000万人である。(郵政省「通信白書」平成11年度)

国内において発信している情報量は、平成11年度の1年間で3.4倍に増えている(郵政省「通信白書」平成11年度)。今や、インターネットにより情報を入手し、ネットで直接、買物をするなど日常茶飯事に行われている。これほど社会生活に急速な勢いで密接につながりつつあるインターネットの世界は、インターネット自体が存在しなかった時代など到底想像出来ない状況になっている。

このインターネットは、これからの教育活動において重要な位置を占めてくるであろう。このインターネットと教育は「第2章 問題の設定」の中で詳しく見ていく。

 

第3節 メディアと教育

本節では、メディア教育の成り立ちからその仕組みを見ていく。

 

1.3.1 メディア教育について

メディアを教育活動に利用する試みはいつ頃から行われたのだろうか。メディアを教育活動に意図的に組み込み、実践を試みた始まりは第一次世界大戦のすぐあとにパリで生まれた「シネ・クラブ」であるといわれる(Bennett, 1997)。この「シネ・クラブ」では、学校の課外活動として、生徒に映画鑑賞の機会を与え授業の一部とした。これが最初のメディア教育といわれている。このようなメディアを用いた教育はその後、同じく映画を学習に用いたイギリスでのスクリーン・エデュケーションを経てテレビジョンの発明・開発により、大きな転換期を向かえた。

このテレビという視覚的に人間に情報を与える道具は、大変画期的な発明であったが、一方で人間の認知、精神、成長に大きな影響を及ぼすのではないか、と考えられた。そしてそのことを実証するために社会心理学を初めとするコミュニケーション学の分野において数多くの実証的研究が行われた。テレビに関しては、その子供への影響を1950年代に早くも行われた。(Himmelweitら、 1958)

 

1.3.2 メディア教育の定義

メディアを用いた教育活動をメディア教育と呼んでいるが、どのような定義が考えられるのだろうか。メディアを用いた教育は、映画を教育活動に用いた事から当初スクリーン・エデュケーション(screen education)と呼ばれていた。その後、テレビの登場を迎え情報量の増大とともに発展していった。このメディア教育の定義をIFYC(International Film and Television Council)では、「メディア教育とは、現代のコミュニケーション及び表現メディアの、そしてそれらについての研究、学習及び教授であり、教育の理論実践の中で特定の自立的な知識の領域として位置付けられ、数学や、科学、地理といったほかの知識領域の教授・学習のための補助具としてのメディアの利用とは区別される。」(IFTC 1973 p3)であるとされメディア自体を教育・学習の位置領域として捉えている。IFTCの定義では、メディア教育を「メディアを補助具として利用し授業をするような形はメディア教育に含めず、メディア自体を教育・学習する点を指して言う」としているが、本論文では「133 メディアリテラシー」で紹介する佐賀(1998)のメディア教育の分類を採用し、それに基づいてメディア教育を考えていく。

また、別な見方ではこのメディア教育は、教育を行っていく上での学習資料、教育開発機能、教育経営・管理機能を包括する「教育工学」の1分野とされる。教育工学におけるメディア教育は次のような分類ができる。


 


1 教育工学におけるメディアの位置付け 清水ら(1992) pp.132-133

 

この清水ら(1992)の教育工学の1分野として位置付けたメディア教育の分類によると、授業で用いられるメディアは、掲示(掲示機能)、反応・測定(反応制御機能)、掲示・反応・測定・評価(評価機能)に分かれている。基本的なメディアの利用方法はこの清水らの分類であるが、現在では、Learning about media.(メディアについての学習)(佐賀、1998)が加わる考えが一般的であるといえる。

 上述の清水らの教育工学に基づく分類は、授業の中でどのようにメディアを効果的に利用していくかについて研究されている分野である。一方,現在ではメディアを掲示用に利用する従来の考え方とは違い、コンピュータそのものについてその利用と操作を中心に指導するメディアリテラシー(media literacy)や、コンピュータとの相互作用によって自学自習を目指すCAI(Computer Assisted Instruction)またはCAL(Computer Assisted Learning)、そしてCAIの言語学習版であるCALLComputer Assisted Language Learning)と呼ばれるコンピューターによる教育活動がある。

 今回取り上げたメディアリテラシーについては次の「133 メディアリテラシー」で詳しく見ていく。また、CAI(CAL)については「1.3.5 メディア教育の実践例」、CALLについては「2.1.1 メディアを用いた英語教育」において見ていく。

 

1.3.3 メディアリテラシー

20世紀に入り科学技術の急速な発展とともに生まれてきたのが「メディアリテラシー」である。メディアが飛躍的に発達し人間のあらゆる側面に影響するようになり、特に心理面、認知面での影響が強い高度情報化社会においては、新しいメディアについての利用、応用、対処などの諸能力を備え付けなくてはならなくなる。

そのメディアリテラシーとは、情報操作能力教育のことを指す場合が多い。情報操作能力とは氾濫する情報の中から必要な情報を理解し、選択し整理し、創造、発信できる能力である。古くから日本では「読み・書き・そろばん」と、その教育基本を語られているが、現在では「読み・書き・パソコン」といわれるように、マルチメディアの成長は著しい。この読んだり書いたりする技能をあらわす「リテラシー(literacy)」に、メディアの名称をつけ包括的に「メディアリテラシー(media literacy)」と呼んでいる。メディアと正しく付き合い、情報に流されず自分から積極的に情報を見つけ、取拾選択できる能力の育成のためにメディアリテラシーが必要である。このメディアリテラシーの中でも特にコンピュータに関する情報操作能力教育は「コンピュータ・リテラシー」とも呼ばれ、重要視されている。

Culbertson(1986)は、その「コンピュータ・リテラシー」の特徴を次の3つに分類した。

 

@操作的リテラシー:コンピュータの基本的構成を知っており、機会の基本的操作(プログラムのロード、キーボード操作など)ができる能力。

A道具的リテラシー:既成のプログラムから学習できる能力。CAIなどで勉強できる程度の能力。

B論理的推理リテラシー:自分でプログラムを作る能力であり、現在、リテラシーの内容として想定される場合が多い。複雑な課題を明確な成分に分割し、それらの間の論理的関係を保ちながらコンピュータに組み込める能力。受け身の学習でなく、能動的にコンピュータを利用する点に特徴がある。

 

1986年頃においては、コンピュータ・リテラシーとは自らプログラムを組んで利用できることが求められていたが、現在では、そのようなハードではなくソフト面の操作能力が重要視されている。コンピュータのハード面の知識が薄くてもコンピュータを用いてソフトを操作・運用できる能力が重視され、その操作・運用できる能力の育成を行い、コンピュータを用いて適切に迅速に情報を収集選択する能力の育成がコンピュータ・リテラシーといえる。

 

 

1.3.4 メディア教育の分類


メディアを用いた、又は、メディアそのものを学習するメディア教育は、その利用、学習環境によりいくつかのタイプに分類する事ができる。佐賀(1998)によると、1つはある教科や単元を学習するために映画やテレビ番組、辞典やスライド、ビデオなどが用いられるという、メディアが教育・学習のための手段となる場合である。2つ目に学習者がある学習目標を達成させるためにOHPやインターネットなどを利用する、メディアが学習者の道具となる場合である。3つ目にメディア自体が学習そのものになり、メディアが学習・教育の対象であり、教科の1つとなる場合である。これらの場合をそれぞれ「メディアによる学習」(Leaning by media)、「メディアを通した学習」(Leaning through media)、「メディアについての学習」(Leaning about media)とし、以下のように図式化した。

佐賀(1998)p170

 

従来は、第1の事態がメディアを用いた教育活動であり教育効果を高めるためにメディアを利用するといったことが行われていた。しかしながら、近年の急速な情報化に伴いメディアそのものの扱い方を学習するという点に教育の目標が置かれ、現在のメディアリテラシーとなり、メディアについて学習する第3の事態である。

 

1.3.5 メディア教育の実践例

ここではメディア教育が実際にどのように行われているか見ていく。そこでまず、伝統的な視聴覚教育や教育工学で述べられてきたメディアを用いた授業立案を見ていく。

 

()授業立案のモデル

教師がメディアを考慮し授業を組み立てる上で必要な構成要素は、「教育目標、教師、教授メディア、学習者」水越ら(1995)であり、このシステムを図に表すと図3のようになる。


 

 


まず、教師が教育目標を設定しその目標の達成のために教育内容をメディアを通して発信する。学習者は、メディアからの情報を受信し学習を進める。学習者の反応は、メディアを通り教師へ送信される。教師は得られた学習者からのフィードバックを基に評価を行う。

では、メディアを用いた授業を実際にどのような手続きを踏んで行われるか見ていく。

水越ら(1995)は、授業設計の代表的なものとして次の図4のように表している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


4 メディアを用いた授業設計の手順 水越(1995)

 

メディアを用いた授業も通常の授業組立てと差異は余りなく、基本的な事項である「学習者の把握」、「ねらい」や「評価」、「教材」などについてはそのあり方は変わらない。しかし、授業の中でいかに効果的にメディアを用いて学習者の興味・関心を喚起し、学習者の学力を伸ばすか、という点を考慮しなくてはならない。本図の教授メディアの選択に関して、学習者に何をどのように教え、どんな学力をつけさせたいのかを考慮し、適切なメディアを選択しなければならない。


その適切なメディア選択の際にどのようなメディアを選ぶべきかの基準をGagneら(1998)は、学習目標による分類によりメディアの選択基準を設けた。

 


()CAI(Computer Assisted Instruction)について

CAI(Computer Assisted Instruction)は、「コンピュータを用いた学習支援システム」である。現在では、一般的にコンピュータを使って勉強を教えようとする学習システム全般をCAIと呼んでいる。開発当初の目的としては、数学、理科、社会、英語等といった既存の科目の学習をコンピュータを用いてわかりやすく、効率的に学習する事を目指して開発された。例えば、英単語や歴史年表といった繰り返しが必要な学習については、コンピュータを用いて学習する事で個々のレベルにあった学習が可能である。また、コンピュータを用いることにより複雑な原子モデルなどをディスプレイ上に表す事で理解が容易になる。現在のマルチメディアを用いた学習は、耳からの学習だけでなく仮想現実を用いてリアルな体験学習ができる。

高橋(1995)によると、CAIの特徴は「コンピュータの情報処理能力を活用して、教材の提示、学習者の解答の受入れ、正誤判定、フィードバック情報の提示、学習プログラムの分岐、学習の反応の記録等を可能にした教育システム」であると述べている。

また赤堀(2000)は、コンピュータを用いた学習による効果として次のような話をしている。「ある美術の中学校の先生はほとんどコンピュータ室で授業をすると言う。描画ソフトやデザインソフトがすばらしく、生徒達が夢中で活動して、そして生徒がこんなすばらしい能力を持っていたのかと感動するからだという。」従来の学習活動にコンピュータを取り入れることにより生徒の学習への動機付けを高める効果があるといえる。

この、CAIの利用する利点として峰岸(1999)は次のように表にあらわし述べている。


 


以上のようなCAIの特性を最大限に活用し、この教育活動を英語(言語)学習に絞って開発されているのがCALL(Computer Assisted Language Learning)である。CALLについては、「2.1.1 メディアを用いた英語教育」にて詳しく見ていく。

またCAICALLに用いられる教材として現在では、パソコン自体の処理能力の大幅な向上、記憶装置の大容量化が進み非常に優れた学習ソフトが開発されている。

)

           Microsoft® Encarta® インタラクティブ英会話 ビジネス編 

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URLhttp://www.ehq.co.jp/

 

(3)僻地・離島での実践例

メディア教育の有効的活用の1つに僻地・離島での教育活動があげられる。いま現在、コンピュータを授業実践で十分活用できるという教員は少なく、特に僻地・遠隔地では教員の絶対数が少なく情報教育を実践できない場合が考えられる。こうした中、塩見ら(1998)は、沖縄県八重山郡西表島の離島僻地校を対象に調査、及び実践を行った。

実践の内容は、「インターネットを利用した社会科授業」である。インターネットの検索システムにより目的に添ったサイトを見つけ必要な情報を入手し、そして生徒達が調べた成果を発信する。インターネットの相互作用の仕組みを最大限に生かした学習方法である。この取り組みは、現在メディアに詳しい先生方により積極的に行われている代表的な活動である。塩見ら(1998)によると、調べ学習中心の社会科の授業では、インターネットを利用したリアルタイムの情報と触れる事のできるこの学習方法が大変有効である、と述べている。また「図書館などの公共機関のほとんど存在しない離島僻地において、調べ学習を展開するときにインターネットを利用すれば離島僻地の弊害を払拭した学習活動が可能である。」とも述べている。その学習の成果として「ホームページから教科書や資料集では手に入れることが難しい貴重な情報を収集し、自分たちの情報新聞を作り上げることができた。また、電子メールを利用し情報をいただくなど情報収集の手段が広がった。」と述べている。

今後コミュニケーションスタイルのひとつであるインターネットや電子メールを授業に用い、その利用法なども教えることのできるこのような実践は必ず生徒らの将来に役立つ知識・技能である。

 

1.3.6 メディア教育の未来

 今後のメディア教育の形はどうなるのだろうか。毎日が発展への道であるメディアの世界では、未来を見越すことは困難である。数年前、数ヶ月前、数日前は過去なのである。一方で教育活動は、学びの基礎基本を教授するという普遍的な目標も持ち合わせている。中央教育審議会第二次答申で言われるように「教育においては、『時代の変化とともに変えていく必要があるもの』(流行)とともに、『時代を超えて価値のあるもの』(不易)」がある。この不易とは、人間が成長していく過程で正しく身につけなければならない基本的なものであり、流行とは、その時代時代において、目標とするものが変化しそれに対応することである。読み・書き・そろばんや道徳性といった不易の部分と、これからも変化しつづけるであろうメディアの学習をバランスよく指導することが重要である。

今後はげんざいよりもさらにインターネットの世界が広がり(1999年、我が国のインターネット利用者は2706万人。2005年には7670万人に上昇すると予測されている。 郵政省(2000) 通信白書 平成12)、メディア教育と英語教育はさらに重要なかぎを握ることになるだろう。


第2章 問題の設定

 

第1節 メディア利用の英語教育

 本節では、英語教育におけるマルチメディアの利用について、その理論や実践活動を見ていく。

日本の学校教育において情報化社会への対応は、昭和40年代後半に実施された高等学校専門教育「情報処理教育」が始まりである。そして、急速に進歩する情報社会と共に教育界も情報化が叫ばれるようになった。

平成87月に出された第15期教育審議会の第一次答申において「学校教育における情報教育の推進」が提言されている。また、平成910月に「情報化進展に対応した初等中等教育における情報教育推進等に関する調査研究協力者会議」が「体系的な情報教育の実施に向けて」という第一次答申を発表した。

このような状況の中、文部省による行政主導のもと各学校における情報システムの整備が行われている。その内容は、平成11年度までに小学校22台、中学校に42台、普通科高等学校に42台、特殊教育諸学校に8台設備し、これは、小学校においては2人に学校については11台の割合となる。また、2001年までにすべての中学校、高等学校、特殊教育諸学校を、2003年までにすべての小学校がインターネットをはじめとする広域ネットワークに接続されることが文部省の通達により準備されている。

 

2.1.1 メディアを用いた英語教育

上述したように学校の情報化も徐々に進み、また日々格段な進歩を遂げる情報技術により、情報処理能力の育成が急務である今日においてマルチメディア実践教育を英語教育の中に組み込む試みも実践されている。また逆に英語の諸能力を高めるためにメディアを積極的に利用し実践されている。その実践はインターネットが急速な広がりを続ける中、その実践のあり方も日々進化しつづけている。また現代では、インターネットなしでは勉強も研究もままならなくなる時代であるといえる。本の検索や論文の検索、研究者の検索や情報の収集とそのかかるすべての操作を机の上でインターネットは実現する。

そのインターネットの世界の中では、英語という一言語が世界中の国々の人のあいだでの共通語として用いられている。これは、世界にあるホスト・サーバーのおよそ7割がアメリカに設置されている現状があることと、第一言語、第二言語として英語を学んでいる国々の数が圧倒的にほかの言語よりも多い現状を考えると、今後も引き続き英語がいっそう重要な要素になってくる。このような社会状況の中、世界の共通語として人々のあいだのコミュニケーション・ツールとして英語が脚光を浴びている。インターネットをはじめとするマルチメディアを用いてメディアについても学習し、今後も重要視される外国語である英語を学ぶ英語学習というようなメディアリテラシー能力の育成を兼ねた英語教育システムが採用されつつある。

その教育システムの中心に位置するのが、CALL(Computer Assisted Language Learning)である。CAI学習システムの語学教育版であるCALLは、CAIに応用言語学を取り入れ、従来のコンピュータを用いた学習(コンピュータと1対1による個別学習方法)に新たにコンピューターネットワークと接続し相互作用を取り入れたものや、CD-ROMをはじめとするマルチメディア教材を用いた学習方法である。このCALL1950年代後半に言語学者らが、あらかじめ設定されたプログラムにそって段階的に学習を進めるプログラムを提唱したのが始まりである。当時は、大型コンピュータしかなく大変なコストがかかっていたが、第1章の第2節「マルチメディアの時代へ」で見られるようにコンピュータは安価で身近なものとなった。その結果、現在のマルチメディアを駆使した教材を開発し、利用されている。そのマルチメディア教材をふんだんに取り入れた学習方法であるCALLにはどのような機能があるのだろうか。Cunningham(2000)は、CALLの機能を次のように分類でしていいる。


 


また、中田(1999)によると、CALLの実際の教育現場での形態は「教室で語学学習ソフト(CD-ROM教材など)を用いた授業、インターネットでのE-mailを使用した授業、学生個人が語学学習ソフトを使用しての自習、WWWに置かれた語学学習ソフトを使用した授業、WWWWEBページにアクセスしてその資料をもとに作業をさせる授業」であると述べている。「1.3.5 メディア教育の実践例」でも例をあげたが、CD-ROM又は、DVD-ROMといったデジタル・メディアは大変によく出来ていて最近発売されているソフトは映像も音声も大変工夫を凝らしてあり、利用者の心を巧みにつかみこむソフトが多い。中田(1999)は、このCD-ROMを中心とするマルチメディア教材を用いた授業を3つのパターンで表している。

 

@     授業時間内にCD-ROM教材を学生個人に割当て一定の時間を学生の自習にする。

A     授業時間内にCD-ROM教材を用いて教師用モニターを通していっせいに授業を行う。

B     授業時間外での学習に特定のCD-ROM教材を課題として割り当てる。

 

CALLには、インターネットや電子メールといったメディアを用いた学習が含まれ、現在では中心的存在である。次に英語教育におけるインターネットについて見ていく。

2.1.2 英語教育におけるインターネット利用

メディアを用いた英語教育やCALLにも前述したように様々なものがあるが、ここではインターネットを用いた英語教育についてみていく。

文部省が1997331日現在で行った情報教育の実態調査によると、コンピュータの設置率は小学校907%、中学校998パーセント、高等学校100パーセント、特殊教育諸学校987パーセントであった。コンピュータを設置する学校における一校あたりのあたりの平均設置台数は、小学校が85台、中学校が253台、高等学校が666台、特殊教育諸学校が100台である。

このように、コンピュータが確実に学校教育の中に浸透しつつあるなかで教育活動にも変化が生じている。それは、現在盛んに叫ばれている「情報教育」(media literacy)1.3.3 メディアリテラシー参照」である。そして、児童・生徒にこのメディアリテラシーを授けるために現在最も注目されているのがこのコンピュータを用いた英語教育であるといえる。さらにいえば、インターネットを用いた教育活動であり、英語教育である。児童・生徒に今後の社会を行きぬくために必要な情報処理能力を養う必要があり、世界の共通語となりつつある英語の実践的な能力を養う必要がある。

では、インターネットと英語教育についてその利点を見ていく。

山内(1996)は、インターネットを英語教育に用いる意義と利点として次のように述べている。

 

@多くの情報が英語で提供されているため、効果的に活用すれば英語を理解し、表現する能力を育成できる。

A情報のやり取りを通じて、英語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が育成できる。

B世界中の最新情報を文字、音声、画像を組み合わせた形で入手でき、外国文化への関心を高め、積極的に取り入れることにより国際理解教育に貢献できる。

C情報および情報機器を主体的に選択肢活用するとともに、情報を積極的に発言できるようになるための基本的な資質や能力を高める事ができる。

 

多くの情報が提供されているインターネットとは、Webであり、情報のやり取りとは、主にE-mailを指すといえる。そのWebとは、WWW(World Wide Web)のことで、インターネット上に存在する情報源である。具体的にはインターネットユーザーは、自分のパソコンのブラウザソフトを使って世界中の膨大な情報源WWWにアクセスする事ができる。また、E-mailとはElectric mailを指し、世界中のパソコンに最高でも数分以内にメールを届けられる。なおかつ送信にかかる費用が非常に安価である(10円程度)。また、一つのメールを同時に何十人,何万人に送ることが出来る。これにかかる費用も10円である。なぜなら、メールは受信者の所属するサーバーに送信される。このサーバー間の通信コストはかからない。そして、メールの受信者は自分が所属するサーバーにアクセスするだけである。電子メールは、この即時性と廉価性により急速にユーザーを増やしている新しいコミュニケーション・スタイルである。

では、具体的にはどのような活動がインターネットを利用して行うことができるか見ていく。

 

 

竹内(1996)によると、インターネットを用いた英語教育は次のような実践が行われている。

 


 


Writingでは、E-mailを用いた文通活動(キーパル)が行われている。もともと外国語学習では手紙による文通活動が用いられる場合もあったが、手紙ではなくE-mailを用いる事により即時性や廉価性が高まり実施しやすくなったといえる。また、キーパルを探す場合においてもインターネットを利用する事により限りない情報を得ることができる。参考にKeypal Opportunities for Students ( URL: http://ilc2.doshisha.ac.jp/users/kkitao/online/www/keypal.htm )のリストをあげておく。また、外国との学校間で連携しクラス単位で交流する事も行われている。

Readingでは、Web自体が英語を中心に出来上がっている世界なので数量的には読む題材には苦労はしないであろう。何でも揃うといっても過言ではない。しかしながら、学習者に合ったレベルに適した題材を世界中の膨大な情報から選び出さなくてはならない。これには、教師自身がメディア特性を十分理解し扱える能力や教材を見る力がないと出来ない。また、英語学習者用に作品を用意しているサイトや、リンクを集めたサイトも多く存在し有益な情報も得られる。また、外国の報道機関のWebには10分程度間隔でニュースなどの情報を最新のものに更新するサイトなどがあり情報の即時性が高く、教師が教材としてそれを利用する場合、生徒の関心を高めるのに大変効果的である。日本の新聞社なども英語による発信を行っており、同日の日本のページと比較して用いる事も可能である。

ListeningSpeakingに関しては、通信速度の関係上現在はまだ十分に活用されていないと言える。この分野に関しては、旧来のメディアであるラジオやテレビ、ビデオが有効である。また、CD-ROMなどに収録されている教育用メディアは、通信の関係がないため非常に有効である。(参照2.1.1 メディアを用いた英語教育)この通信速度の問題はあるものの、インターネットを利用した音声を用いる学習が全く行われていないかというとそうではない。年々ストリーミング(同時再生)の技術が向上し音声と映像によるニュースの発信などが行われている。さらには、英語学習者用サイトにはリスニングのテストなどが存在するページもある。

電子メールについては、送受信の即時性とかかる費用が安いことと、一度に何人もの人に同時に遅れるという特徴がある。この特徴を最大限活用してReadingWritingに用いている場合が多い。中田(1999)によると、「e-mailの利点を十分に生かし学生教師間のコミュニケーションの方法としてだけでなく、保存・修正が容易なことから、授業に関する様々な提出物(レポートなど)を学生から受け取り、修正して返信するという方法もとられている。」であったり「実際に英語圏の人々と英語でメールをやり取りさせる方法や、複数で順番に毎回1パラグラフを書き足し、それをメールで送りながらひとつのストーリーを作成するといった方法、さらには個人のレベルの、また、メーリングリスト(同一グループ内のメンバーに送信されるメールシステム)を用いた複数でのディスカッションなどがある」と述べている。実際に電子メールを用いた英語学習の効果はいくつかの研究で明らかにされている。Belisle(1996)は、電子メールを授業で用いる理由を挙げている。

 

@     21世紀にコミュニケーション・ツールとして定着する電子メールについての技能を授ける。

A     教師と生徒、又は生徒グループとの相互作用が多くなり強化される。また、メールを書くことは学校だけに限定されず家からも教師に質問できる。

B     教師側からは、生徒の活動をモニターすることが出来る。また、大量の紙の消費も抑えることが出来る。

C     通常のクラスの連絡も電子メールを使えば授業時間の節約にも成る。

 

また、Nagel(1999)は電子メールを用いた授業と旧来のライティング手法との間の特徴をLund(1998)の調査結果をもとに「旧来の方式で行われる教師と生徒とのライティングのやり取りでは、どうしても生徒が各表現が第3者的になってしまう。それに比べ電子メールでは生徒はじかに、自分の気持ちを直接的に表現し、大変人間的な表現になる」と述べている。また、Nagel(1999)はマルチメディアを生かした教育活動中の教師の役割として「学習の促進者、補助の役割」が大切であると述べている。そして生徒らのマルチメディアに対する興味関心を削がない為にも生徒の自主性を重んじる必要がある。と述べている。

その他には、電子メールを教育活動に用いる利点として赤堀(2000)は次のように例をあげて説明している。「ある高等学校の先生が通常の一斉授業をしその後で生徒に行った。『後で、今日の授業のまとめを400字以内でレポートにして、電子メールで送るように』。たったこれだけであるが、確実に生徒たちはレポートを出すという。筆者(赤堀)の体験でもそのとおりで、レポートの提出率は紙に比べて驚くほど高い。」。電子メールという新しいコミュニケーション手段は生徒たちの興味・関心を高め普段思わない生徒にも「やろうかな」という気を起こさせている。

 

2.1.3 メディア利用の英語教育の問題点

 ここでは、メディアを英語教育の利用した場合におこりうる問題点を見ていく。

 コンピュータ(CALL)を用いた英語教育においての問題点としてKannan(2000)Temasek Polytechnicでの実践を分析し述べている。Kannan(2000)はコンピュータを用いた授業に対する生徒の動機付けをいくつかの段階に分類し次のように説明している。心配や懸念の段階(Apprehension Stage)とは、授業が開始される前にコンピュータの操作に対する不安などが引き起こす段階で、興味・関心の段階(Curiosity Stage)とは、コンピュータの操作になれ、そのような技術を取得した自信が与えられたタスクによい影響を与えますますのめりこみたくなる段階である。頂上の段階(Peak Stage)とは、生徒がコンピュータの便利さに感心し一番高い関心を持っている段階である。そして、その後に下落段階(Fall Stage)があり、下落段階では同じことの繰り返しが多い、文章が多すぎる、タスクが多すぎといった不安をもち始め、徐々にその興味・関心が薄れていく段階である。このように見ていくと一概にメディアを用いれば生徒の勉強に対する意欲や向上心を掻き立てられるとは言えず、上述したような点を教師は考慮して授業を組み立てなくてはならない。

 次に時間の問題である。公立の中学校や高等学校では文部省告示の学習指導要領によって教える内容と範囲の概略が記されている。その範囲を抑えるのでも四苦八苦している状況であるのにその貴重な時間を削ってまでメディアを教えるということはできない、という点である。生徒らはもともとパソコンを使えるのではなく一人一人が違った能力を持ち、違った経験をしてきているのである。授業で用いる前にパソコンに基本操作について授業をする必要があり、場合によっては基本操作を教えるための授業などが複数回になることも考えれられる。また別な問題点として西塚(2000)は、「パソコンを使って学習をまとめることはノートやワークシートなどの紙メディアを利用する作業に比べてかなりの時間が必要となる。」とメディアを用いた教育活動の実践を通して述べている。

 次に著作権の問題である。インターネットの世界では誰でも画像や論文などの著作を手にすることが容易にできる。非常に便利になっているが、一方で著作権が侵害されやすいと言った問題面もはらんでいる。ネット上の著作などを利用する際、事前に必ずホームページの管理者に問い合わせることなどの手続きを教えなくてはならない。著作の無断引用は違法行為であることを前もって知らせる必要がある。

 次に教員の問題である。現在、公立学校で行われている教育活動は文部省が告示する学習指導要領を基準に各学校においてなされている。学習指導要領では、学習目標が設定されているがその内容は基準の域を脱しない。細かい規定は設けず具体的な指導に関しては教師の力量に頼られている。こういう状況では、パソコンといった技術革新の進展が早いマルチメディアを有効利用できる状況ではないといえる。機械に強い教員とそうではない教員がいることも現実で、教師の力量一つで授業が成り立つ状況ではメディアを扱う先生と旧来の方式の先生とに別れてしまう。これにより不幸なのは児童・生徒たちであることを認識してほしい。

 また別な問題もある。国境の存在も、統括した管理者も存在しないインターネットの世界では、未成年の学習者に不適切な情報も多く存在している。有益に扱うこともできるし、逆に犯罪を助長するようなことも起こりうる。朝日新聞(2000、11、22)によると次の様な事例が起きていた。

     「好きなアイドルの名前で検索エンジンを使ってみよう」と先生に言われ、小学生が検索したら風俗店の宣伝の裸の女性の写真が表示された。

     修学旅行を控えた高校生が訪問先の歴史や地理を学ぼうとした。地図として出てきたのは風俗店のガイドだった。

     親が女児と一緒におもちゃを探していたら、ポルノ製品のカタログに行き当たった。

 これらの有害情報を排除する「防御ソフト」の導入が教育機関で進んでいる。この3年間で小学校、中学校、高等学校、大学など1万ヶ所に普及した。この「防御ソフト」は、事前に問題のありそうなサイトのデータベースを備え、またホームページ上の内容やテキストを自動解析し、排除する仕組みである。完全に排除することは難しいが接続記録が保存される仕組みもあるため心理的な効果もあるという。


第2節   研究の目的

現代社会においては、マルチメディア(コンピュータ)を教育活動に利用している先生方も多いと聞く。しかしながら、実際に私が目にした教育現場ではまだまだ実践できる設備ではなく、耳にする話や、新聞、テレビといったマス・メディアからの情報からでは、本当の実際の状況はつかめない。

本研究では、実際に質問紙による調査を行い生徒のコンピュータの利用状況や、教育実習に行かれた方から実際の学校設備に着いての印象を尋ねる。現状を認識することで、今後の教育活動における私なりの指針にしたいと考えている。

 

今回の研究の目的は、以上のことを踏まえ次に挙げる研究課題を調査し、考察することである。そして、今回の研究を通してマルチメディア教育と英語教育の更なる融合への手掛かりとしたい。次代を担う児童・生徒たちに必ず必要で、そのスキルが日常として求められるメディアリテラシーを英語の学習を通して児童・生徒らに身につけてもらいたい。また、英語という点から見ても例えば、インターネットの世界では、世界中で7割ものサーバーがアメリカに設置され実質ともに英語という1言語が世界の人々の間でのコミュニケーション・ツールとして使われている現状がある。マルチメディアを利用した英語学習で、メディアと言語を両方習得してもらいたいと願っている。

 

第3節 研究課題

まず、本年に私が訪れた実習校(埼玉県三郷市立彦糸中学校)において質問紙による調査を行う。中学一年生ということもあり生徒の負担にならぬよう質問はなるべく簡潔に答えられるように、はい、いいえで答えられるものにした。また、コンピュータの利用状況、インターネットなどの利用状況、コンピュータを用いた学習についてたずねた。この中学生を対象とした調査では、次のような研究課題を設定した。

 

Research Question 1

コンピュータを使用したことのある生徒は8割以上いる。

Research Question

コンピュータを用いた学習に興味がある。

 

 また、私が所属する明海大学において教育実習へ行かれた方を中心にマルチメディア利用状況、実習先の設備などを尋ねる。 そこで、次のような研究課題を設定した。

 

Research Question

パソコンの所持率、学習への利用は高い。

Research Question

インターネットや電子メールを教育活動で実践すべきであると考えている。

 

 


3章 調査

 

 本章において、今回実施した彦糸中学校、明海大学での両校の調査全般について見ていく。

 

第1節    目的

本研究の目的は、次に挙げる研究課題を調査し考察することである。

 

中学生対象の調査では次の二つの議題を中心に調査し考察する。

Research Question 1

コンピュータを使用したことのある生徒は8割以上いる。

Research Question

コンピュータを用いた学習に興味がある。

 

大学生対象の調査では次の二つの議題を中心に調査し考察する。

Research Question 3

パソコンの所持率、学習への利用は高い。

Research Question

インターネットや電子メールを教育活動で実践すべきであると考えている。

 

第2節 研究方法

今回のような調査研究の場合、本来なら幅広い年齢層、様々な社会的地位に関連した人々を調査の対象にしたいと考える。しかしながら、本調査では多くのサンプルをとるには実務的に無理があり、今回の調査では、本年度訪れた実習校において中学生を対象とした質問紙による調査と、本学英米語学科に所属する大学生である20歳前後の若年層を対象として同じく質問紙による調査を行う。そして、既存の研究結果矢調査結果との比較を踏まえ現在のメディア・エデュケーションについて設定した上述の4つ研究課題を踏まえ、考察・検証を進めていく。

今回の具体的な調査方法は、実習期間中に担当した1学年担任の諸先生方のご協力をもとにホームルームの時間に調査票の配布、実施を行っていただいた。また、明海大学外国語学部英米語科の学生を被調査者として、論文を指導していただく浅羽教授のご協力のもと、先生のご担当している授業にて調査票の配布、実施を行っていただいた。また、調査の実施方法は、両実施先とも、調査票(質問紙){巻末記載}に被調査者が直接質問紙に回答を記入する「自記式」の「集合調査法」を用いる。今回の調査で中学校では3クラス、約100件前後のデータをとり、明海大学では、3クラス、約60件前後のデータをとり集計を進めていく。本調査の実施・回収期間は、中学校では、2000612日、また、明海大学では2000103日で行った。

回収した調査票は、コンピュータにかけて機械集計を行う。その後、得られたデータをグラフ化し両校のデータや既存のデータと比較し考察していく。

 

(1)調査手順

質問紙では両校とも年齢、性別を確認する。中学校の調査においては、中学1年生ということで簡単に「はい・いいえ」で答えられる質問を用意し調査項目も10題と少なめに設定し生徒の負担を留意しつつ調査を行った。明海大学での調査では、最初にマス・メディアとの接触量を1日平均時間で記入していただいた。また、「メディアの環境について」や「メディアの教育利用」については、5段階に分けたスケールを用い、調査結果を5点尺度で集計した。

 

第3節 調査結果

まず、今回行った調査の各項目について調査結果を以下にまとめてみる。

 

3.3.1    被調査者の特徴

今回実施した配票方式の調査では、彦糸中学校、明海大学の両校あわせてアンケート用紙配布枚数183部、回収部数は183部、回収率は100.0%であった。ホームルームや授業時間の一部利用して行った今回の調査では、すべての配布した調査票を回収する事が出来た。


次に被調査者の男女構成や平均年齢を見ていく。今回の調査における被調査者の男女構成は表6のような結果になった。

 


まず、彦糸中学校にて行った調査では、男性54人、女性47人であり、また明海大学にて行った調査では、男性21人、女性49人であった。

なお、明海大学において行った調査では被調査者の年齢を質問紙より確認し、集計の結果その平均年齢は2186歳となった。年齢の最大値は、30歳で最小値は20歳であった。


3.3.2 埼玉県立彦糸中学校での調査結果

 次に実際の調査項目について結果を見ていく

 

1.あなたはパソコンに興味がありますか

図5 パソコンに対する興味

 

 

「1.あなたはパソコンに興味がありますか」との質問に対し101人中、89(88.1%)が「はい」の回答で興味があると答えている。また、12(11.9%)の生徒が「いいえ」と答えている。

 



2.あなたはパソコンを使ったこと、触ったことがありますか

図6 パソコンに対する経験

 

 
「2.あなたはパソコンを使ったこと、触ったことがありますか」との質問に対し101人中、100(99.0%)が「はい」の回答で使用暦があると答えている。また、1(1.0%)の生徒が「いいえ」と答えている。

3.「はい」の人にお聞きします。パソコンを使ってどんなことをしましたか

 パソコンに触れたことや使用したことのある生徒に対し、実際にパソコンを使ってどんなことをしたか尋ねた結果が右表のようになった。

 調査では、被調査者が直接に用紙の括弧に回答を入れていく方式で、3つまで記入ができるように設定した。

 第1位は、インターネットで61名に上る生徒がインターネットを経験している。第2位は、ゲームで38名の生徒がパソコンを使用してのゲームを行った経験がある。第3位は、タイピングで「文字を打った。」などの回答もこのタイピングに含めた。第4位は、勉強で何らかの形でパソコンを使用して学習した経験を持つ生徒が12名いた。第4位は、「お絵かき」で、何らかのドローソフト

ウェア―を用いてお絵かきをした経験を持つ生徒が12名いた。    表7 パソコン使用経験

6位は「メール」で、4名の生徒が電子メールをしたと答えている。

同じく6位には、「基本操作」という枠組みに組み込むことができる。基本操作とは、電源を入れたりマウスをクッリク等である。 そして、第8位には、プログラミング、チャットを経験した生徒が各1名づついた。

 

4.あなたはパソコンを持っていますか

7 パソコンの所持

 

 

「4.あなたはパソコンを持っていますか」との質問に対し101人中42(41.6%)の生徒が持っていると答え、59(58.4%)の生徒が持っていないと答えた。

7 パソコンに対する経験

 

 
 



5.あなたはインターネットを知っていますか

8 インターネットに関する認知

 

 
「5.あなたはインターネットを知っていますか」との質問に対し101人中99(98.0%)の生徒が知っていると答え2(2.0%)の生徒が知らないと答えた。

 


6.「はい」の人にお聞きします。インターネットを使ったことはありますか

9 インターネットの使用経験

 

 
「6.「はい」の人にお聞きします。インターネットを使ったことはありますか
」との設問に対し72(71.0%)の生徒がインターネットを使用したことがあると答え、29(28.7%)の生徒が使用したことはないと答えた。

 



7.あなたは「E-mail(電子メール)」を知っていますか

10 電子メールの認知

 

 
「7.あなたは「E-mail(電子メール)」を知っていますか」との質問に対し101人中77(76.2%)の生徒が知っていると答え、24(23.8%)の生徒が電子メールを知らないと答えた。


 


8.「はい」のかたにお伺いします。電子メールを使ったことがありますか

11 電子メールの経験

 

 
「8.「はい」のかたにお伺いします。電子メールを使ったことがありますか」との質問に対し、101人中19(18.8%)の生徒が使ったことがあると答え、82(81.2%)の生徒が使ったことはないと答えた。

 


9.あなたはパソコンを学校で教えてほしいと思いますか

12 メディア教育

 

 
「9.あなたはパソコンを学校で教えてほしいと思いますか」との質問に対し、101人中87(86.1%)の生徒が学校でパソコンを教えてほしいと答え、14(13.9%)の生徒がいいえと答えた。


 


10.あなたはパソコンを使った授業は面白そうだと思いますか

13 メディア教育

 

 
「10.あなたはパソコンを使った授業は面白そうだと思いますか」との質問に対し、101人中91(90.1%)の生徒が面白そうだと答え、10(9.9%)の生徒がいいえと答えた。


3.3.3 明海大学外国語学部英米語学科での調査結果

 


5.パソコン暦はどのくらいですか。

14 パソコン暦

 

 
「5.パソコン暦はどのくらいですか。」との質問に対し、6ヶ月未満の学生が19名、半年以上1年未満の学生が7人、1年以上1年半未満の学生が1名、1時間半以上2時間未満の学生が1人、2時間以上2時間半以内の学生が0名、2時間半超の学生が0人であった。

 



6.パソコンを使用することに抵抗はありますか。

15 パソコンに対する抵抗

 

 
「6.パソコンを使用することに抵抗はありますか。」の質問に対し、あると答えた学生が3(4%)、かなりあると答えた学生が7(10%)、普通と答えた学生が11(1%)、あまりないと答えた学生が19(26%)、抵抗はないと答えた学生が32(5%)であった。

 



7.パソコンをお持ちですか。

16 パソコンの所持

 

 
「7.パソコンをお持ちですか。」の質問に対し、72名中51(71%)のか学生がパソコンを持っていると答えた。持っていないと答えた学生は、21(29%)であった。

 


17 ワープロの所持

 

 

8.ワープロはお持ちですか。

「8.ワープロはお持ちですか。」との設問に対し、40(56%)の学生がもっていると答え、32(44%)の学生がないと答えた。


 


9.インターネットを利用していますか。

18 インターネット利用

 

 
「9.インターネットを利用していますか。」の質問に対し、72人中20(27%)の学生が頻繁に利用していると答え、20(28%)の学生が利用していると答え、普通と答えた学生が9(13%)、あまりしていないと答えた学生が9(13%)、まったく利用していない学生が14(19%)であった。


10.E-mailアドレスをお持ちですか。

19 電子メールについて

 

 

「10.E-mailアドレスをお持ちですか。」との質問に対し、72人中55(76%)の学生がアドレスを持っていると答え、17(24%)の学生が持っていないと答えた。

 



11.レポートや論文にパソコンやワープロを使用していますか。

20 パソコンなどの学習利用

 

 
「11.レポートや論文にパソコンやワープロを使用していますか。」との質問に対し、72人中65(90%)の学生が利用していると答え、7(10%)の学生が利用していないと答えた。


12.インターネットを自分の学習に利用していますか。

21 インターネットの学習利用

 

 
「12.インターネットを自分の学習に利用していますか。」との質問に対し、72人中5(7%)の学生が頻繁に利用していると答え、利用していると答えた学生が23(32%)、普通と答えた学生が15(21%)、あまりしていないと答えた学生が14(19)、まったく利用していないと答えた学生が15.(21%)であった。

13.あなたは、マルチメディア(コンピュータ、LLAV施設)を利用した教育活動に興味がありますか。


22 マルチメディアの教育活動に対する興味

 

 
「13.あなたは、マルチメディア(コンピュータ、LLAV施設)を利用した教育活動に興味がありますか。」との質問に対し、72人中18(25%)が興味があると答え、かなりあると答えた学生が19名、普通と答えた学生が30名、あまりないと答えた学生が2名、まったくないと答えた学生が3名であった。

 


14.インターネットを利用した授業は教育効果が高いと思われますか。


23 インターネットを利用した教育の教育効果

 

 
「14.インターネットを利用した授業は教育効果が高いと思われますか。」との質問に対し、72人中5(7)の学生が強く思うと答え、26名(36%)の学生が思うと答え、同じく26名の学生が普通と答え、あまり思わないと答えた学生が13名、まったく思わない学生は0名であった。


15.インターネットを利用した授業を実践すべきだと思いますか。

24 インターネットを利用した授業の実践

 

 

「15.インターネットを利用した授業を実践すべきだと思いますか。」との質問に対し、強く思うと答えた学生が、72の人中6(8%)、思うと答えた学生が27(38%)、普通と答えた学生が26(36%)、あまり思わないと答えた学生が13(18%)、まったく思わない学生は0名であった。

16.E-mailを利用した授業は教育効果が高いと思われますか。

25 電子メールの教育利用

 

 

「16.E-mailを利用した授業は教育効果が高いと思われますか。」との質問に対し、72人中5(7%)の学生が強く思うと答え、30(41%)の学生が思うと答え、17(24%)の学生が普通で、あまり思わない学生が18(25%)、まったく思わない学生は2名であった。

 


17.E-mailを利用した授業を実践すべきだと思いますか。

26 電子メールの実践

 

 

「17.インターネットを利用した授業を実践すべきだと思いますか。」との質問に対し、72人中7(10%)の学生が強く思うと答え、思うと答えた学生が30(37%)、普通と答えた学生が20(28%)、あまり思わないと答えた学生が18(24%)、まったく思わない学生は1名であった。

 


27 今後の展望

 

 

18.今後ますます英語やメディアの学習は必要になると考えたいますか。

「18.今後ますます英語やメディアの学習は必要になると考えていますか。」との質問に対し、72人中25(35%)の学生が強く考えると答え、42(58%)の学生が考えると答え、普通と答えた学生が2(3%)、あまり考えないと答えた学生が3(4%)、まったく考えないと答えた学生が1名であった。


 


19.あなたの訪れた実習校のマルチメディア環境は整っていたと思いますか。

28 実習校の環境

 

 
「19.あなたの訪れた実習校のマルチメディア環境は整っていたと思いますか。」との質問に対し、整っていたと強く思う学生が23名中3(14%)、思うと答えた学生が5(24%)、普通と答えた学生が3(14%)、あまり思わないと答えたが学生が6(29%)、まったく思わないと答えた学生が4(19%)でった。



20.あなたの訪れた実習校では、メディアを利用した教育活動(映画、ビデオ等のAV施設、パソコン、インターネット、LL)に積極的に取り組んでいると思いましたか。

29 実習校の教育活動

 

 
「20.あなたの訪れた実習校では、メディアを利用した教育活動(映画、ビデオ等のAV施設、パソコン、インターネット、LL)に積極的に取り組んでいると思いましたか。」との質問に対し、23名の学生のうち1(5%)が強く思うと答え、4(19%)の学生が思うと答え、普通と答えた学生が4(19%)、あまり思わないと答えた学生が5(24%)、全く思わないと答えた学生が7(33%)であった。


4章 考察

 

第1節       調査結果の検証

 本節では、調査で得られたデータをもとに考察を行っていく。

 

4.1.1     彦糸中学校での調査の検証

 はじめに、彦糸中学校で実施した調査についてみていく。彦糸中学校では、1年生の約100名を対象に「パソコンの使用について、インターネット、電子メールについての認知度」などについて簡単に意識調査を行った。

 今回中学生を対象とした調査で得られたデータは以下のとおりである。


30 彦糸中でのアンケート集計結果

 


(1) 中学生のパソコンに対する一考察

 はじめに、中学生のパソコンに対する興味について見ていく。

 「パソコンに興味がありますか」という質問に対し調査人数101名中89(88.1%)に上る生徒が興味があると答えた。この結果により調査対象者中9割近い生徒がパソコンに対し興味・関心を抱いていることがわかった。家庭や学校、友人の家などでパソコンを目にすることは日常的に行われており、生徒らの世代は自然にパソコンに興味がわいているといえる。

 「パソコンを使ったことや触れたことがありますか」という質問に対しては、調査人数101名中、100(99.0%)の生徒が使ったこと、触ったことがあると答えた。これは、ほぼ全員が経験している大変高い数字である。具体的には、小学校時代に学校の授業でインターネットを経験した生徒や、授業でパソコンを使った生徒も多数いた。また、質問1の結果に見られるように生徒たちの興味・関心は大変高く、生徒たちが家庭のパソコンや販売店に陳列しておるパソコンなどに積極的に接触しているのではないだろうか。このパソコンを使用した経験がある生徒にパソコンを使ってどんなことをしたか確認した結果が表7である。まず、101人中、61人が経験したインターネットが一番であった。今回の調査の対象となった生徒が中学1年生で入学後2ヶ月足らずの生徒たちである。この生徒たちの6割がインターネットを経験している。調査では、生徒の負担も考慮して質問は はい・いいえ で答えられ、質問数も少なめに設定した簡単な調査で、具体的にどこでどのように使用したかまでは聞くことは出来なかったが危険な側面も備えているインターネットを経験している生徒が大変多いことに驚いた。

この高い数字から、現代の若い世代らしさを感じたとともにメディアを系統的、組織的に教える「メディアリテラシー」の必要性を強く感じた。それは、パソコンといったメディアは、利用する側の操作によって大変便利なものにもなり、また逆に犯罪に関与する危険性もはらんでいる側面があり、いま現在のようなメディア学習が学校単位や教師の力量次第で行われるやり方ではとてもカバーしきれない点である。これは、「メディアリテラシー」が行われていないといっているわけではない。実際に情報教育は文部省告示の学習指導要領にも明記されているし、2004年度から実施される高等学校学習指導要領では「情報教育」の時間が新たに設けられる。しかしながら、この計画には遅れを感じえざるを得ない。今回の調査で一市町村の公立中学校でこれほど高い関心、パソコンを使用した経験があるのである。高等学校で新設するのではなく中学校、小学校で行うべきである。「パソコンの使い方」や「インターネット」についてだけでなく、メディアそのものの持つ危険性を喚起しながらメディアの有効性とその付き合い方を学ばなければならない。

 

(2) 中学生のパソコン環境についての一考察

 「パソコンを持っていますか」との質問に対し101人中、42(42%)の生徒が持っていると答えた。しかしながら、この質問の設定の仕方に問題があった。それは、生徒自身が持っているパソコンなのか、それとも家庭にあるパソコンなのか明確ではない。今回は、その両方が入り混じっている結果だと推定されるが身近にパソコンがある生徒は比較的多い。

 また、インターネットや電子メールについて認知や経験についても確認した。インターネットについては、101人中、99(98.0%)のほぼ全員が知っていると答え、そのインターネットを知っている生徒に使ったことがあるかを確認した調査では72(71%)が実際に使ったことがあると答えた。この結果も非常に高い実施率である。Rogers(1986)の提唱した普及過程理論でいう「認知の段階」を超えて採用、評価という最終段階にすでに入っているといえる。一方、電子メールについては101人中、77(76.2%)の生徒が知っていると答えた。インターネットに比べると若干ではあるが低い数字となっているが76%に上る生徒が電子メールについて知っている。しかしながら、電子メールの使用については、図30に見られるように101人中19(18.8%)に留まりインターネットに比べるとその経験が極端に低くなっている。これには、いくつかの点が考えられる。まず、タイピングである。インターネットなどは機能操作をマウス1つで簡単に操作できる。一方、電子メールではまず文章を書く(タイピング)作業が必要になってくる。このタイピングの技術は一朝一夜で身につくものではない。入力する訓練を要しないと、入力する作業は「めんどうくさい」「苦痛である」といった勘定を引き起こす。また、今回調査の対象としたのは中学1年生である。文章力には年齢に相応したものがあるが彼らの年代ではまだ文章によるコミュニケーションは十分に発達していない。

 

(3) 授業でのパソコン使用についての一考察

 彦糸中学校での調査の最後に生徒たちが授業にパソコンを用いることについて確認した。結果は、表7の通りである。まず、「学校でパソコンを教えてほしいと思いますか」との質問に対し101人中87(86.1%)に上る生徒が学校で教えてほしいと願っている。これも非常に高い数字である。学校での情報教育は、教師の力量1つにかかっている現状では運良くメディアに詳しい先生がいる学校、若しくはその先生自体から教わらなければ優れた情報教育は受けられない。この結果からも生徒のNEEDS(需要と供給バランスにおける需要サイドの要求)は非常に高いといえる。また、「パソコンを使った授業は面白そうだと思いますか」との質問に対し101人中、91(90.0)の生徒が「おもしろそう」と答えた。今回の調査では、パソコンに関して興味・関心が非常に高い他、学校への期待、授業への期待が非常に高い結果が得られた。さらに、生徒たちはパソコンを使った授業に新鮮さを感じている。

 

4.1.2     明海大学での調査の検証

 次に明海大学で実施した調査についてみていく。外国語学部英米語学科の学生72名を対象にメディアと教育についての意識調査を行った。

 

(1)            パソコン全般について

まず、調査対象となった明海大学の学生の皆さんのパソコン使用暦を確認した。結果は図   が示す通り比較的まばらにおついた感じであった。一番多かったのが全体の25%の半年未満であった。しかしながら1位とほぼ差がなく4年以上(23)が続き、そして2年以上3年半未満(19)3年以上4年未満(17)が続いた。

 次に、「パソコンを使用することに抵抗があるか」との質問に対し86%の学生が「別段思わない」以上で「抵抗はない」の抵抗なしと答えた。一方で、被調査者の内14%の学生が、抵抗がかなりある、ある、と答えた。今回調査した20歳前後の学生の方はマルチメディアの発展とともに成長してきた世代である。ほぼ、パソコンを使うことに関しては抵抗がないように見えるが逆に14%の学生が抵抗があると答えた点に注目したい。現在これほど多くのパソコンといったマルチメディアに接触する機会があるにもかかわらず、抵抗がある学生が14%いるのである。また、「あまり抵抗がない」ではなく「抵抗がない」と答える学生は45%に留まっている。小、中、高でメディアを用いた学習やメディアによる系統的な学習が行われていけば、自然とマルチメディアに対する抵抗は限りなく0に近くなると考える。

 「パソコンの所持」に関しては、72人中51名の学生がパソコンを持っていた。中学生を対象とした調査では42%であったのに対し学生の場合は71%に上った。パソコン操作能力の社会からの養成やパソコンを購入する金銭的余裕が出来ての結果だといえる。

 

(2)            インターネット・電子メールについて

 次に、被調査者のインターネット利用状況、並びに電子メールに関して質問した回答は次の図   である。


40 インターネットの学習利用

 


 まず、インターネットの利用状況については、「頻繁に利用している」27%、「利用している」28%、「普通である」13%であり、インターネットを利用している割合は68%となる。一方、「あまり利用していない」13%、「全く利用していない」19%であり、利用していない割合は32%となった。この利用率の割合は、大学生を対象として行った調査ということを考えると低い数字といわざるを得ない。大学施設などの外的環境の不備、授業や研究で自分のために積極的に取り入れる内的環境の低さ、といったことが考えられる。現在、多くの大学において学内のメディア化は必要不可欠な要素のひとつとなっている。例えば、私の弟が通っている明治大学では入学時に学生全員に対し学籍番号を利用した電子メールアドレスを発行し、学内のコンピュータをはじめ、学外からも大学のサーバーにアクセスできる環境が整っている。また、数年先には全学部の履修要綱(シラバス)をネットワーク上から利用できる環境を整えているそうである。現在、そのメディア化に向けゼミのシラバスをまとめているそうである。(弟談)

 内的環境に関しては、現代社会においてはインターネットなしに研究活動は進められないといっても過言ではない世界である。例えば日常生活の中で何かわからないことがあればインターネットに接続し検索すれば大抵のことはわかる。また、研究を行う上では資料を検索したり論文を検索したりでき、今まで図書館に足を運んでいた時間が大幅に節約でき非常に便利である。英語学習に関しては、世界中の7割ものサーバーがアメリカに存在していることから実質的に英語が共通語となっている。そのため、簡単に英語と触れることの出来る環境がインターネットを利用することで手に入り、また、学習ということに関しても非常に豊富な資源がそろっている。

 このような点からみれば、今回得られたデータが低いといわざるを得ないことが理解できる。しかしながら、数字が低い点には別な要因があることも否めない。それは、大学の外的環境でも学生の内的環境でもなく、日本の通信インフラ事情の問題である。現在の日本において主流となっているアクセス方法はダイアルアップ接続である。ダイアルアップ接続とは電話回線を経由してコンピュータををインターネット等のネットワークに接続する方式のことである。アナログ回線とデジタルのISDNを中心に利用されているが、通信速度に限界があり大容量のデータのやり取りには向いていない。韓国などでは、光ファイバーによる通信回線が普及しており非常に優れた通信インフラを持っている。こうした通信インフラが整っている国々では、インターネットを利用したテレビ電話やテレビ会議といった映像と音声を交えた大容量のデータのやり取りがスムーズに進む。日本では前述したダイアルアップ接続が基本にあり、通常アクセスごとに課金され一般家庭では長時間の利用は出来ない状況である。しかしながら、現在は少しずつ改善の方向に向かいNTTISDNの常時接続サービスを首都圏を中心に全国に広げ、またCATVに加入できる地域の方にはLAN接続によるインターネット接続サービスがあり徐々に広がりつつある。また、近年では近隣諸国に比べ遅れていた光ファイバーケーブルの埋設も進んでいる。徐々にではあるが通信インフラも整いつつある。

 

4.1.3     パソコン環境について

 ここでは、彦糸中学校、明海大学にて行った調査を比較しつつ考察していく。


 まず、パソコンの所持に関してみていくが、両校の間では所持という点に関して図  に見られるように開きがあった。

41 パソコンの所持

 

しかしながらこの結果で注目したいのは、中学生の所持率である。大学生73に対し、中学生が46となっている点である。前述したとおり財力などの金銭的余裕がある大学生が上回っているが、今の時代の中学生は4割もの生徒がパソコンを身近に備えている。例えば、車の場合で見ていこう。日本中の自動車免許所有者の4割がきちんとした教育・教習なしで車を運転していたらどうなるであろうか。このようなことが現実に起きたらそれこそ大変なことになるだろう。だからこそ、普及とともにその技術を授ける必要がある。もう一度言うがパソコンに関しては、中学生はすでに4割が所有しているのである。しかもそれは、学校に入学したての中学1年生である。一日も早い系統的なメディア学習が絶対に必要である。

 ここ数年、テレビ報道などでネット利用による詐欺事件などが取り上げられる。私の覚えている限り若年層としては高校生が無断で音楽を配信し摘発された例や、詐欺事件を起こしている。小・中・高でのメディアの学習は、児童・生徒が大変意欲的になり、好奇心旺盛、新しいものの吸収力はすさまじいものがある。非常に覚えが早いのである。中途半端な教育活動では、ネットの匿名性を生かした犯罪に関与するケースが増えてくるだろう。逆に吸収力の良さの例では、半年ほど前に発生した「Love virus(コンピュータに障害を引き起こすウィルスファイルの一種)の発信・作成元をネットから突き止めたのが高校生であった。

 

4.1.4      メディアを用いた教授に関して

 次に、今回の調査でメディア学習について質問した項目をまとめて検証してみる。

 今回得られたデータをまとめると次のようになる。


42 マルチメディア教育について

 


 まず、マルチメディア(コンピュータ、LLAV施設)を利用した教育活動に興味がある生徒が、51.4%で、普通と答えた学生を除く興味がない学生の率は、7%であった。英語教育には教科書や副教材のほかにマルチメディアといった要素をうまく盛り込まなくては4技能をバランスよく教えることは出来ない。また、これからの社会に必ず必要なスキルであるコンピュータ操作能力の育成も重要である。英語教育は、これらをバランスよく織り交ぜ授業を展開できる教科である。そういう点からみると51.4%という数字は頼りない気がする。ただ、興味がない学生が7%であったため特に問題ではないといえる。普通と答えた学生が多いが、積極的ではないが消極的でもないという意見なのだろうか。

 インターネットを利用した授業が教育効果は高い、と答えた学生は43%で、高いと思わない、と答えた学生は、19.4%であった。また、インターネットを利用した授業を実践すべきである、との質問に関しては、ほぼ前述の「教育効果は高い」の質問の結果と同じであったが、若干ではあるが実践すべきである、と答えた学生のほうが多かった。今回の調査では約2割の学生がインターネットを用いても教育効果が高いとは思わないと答えた。

 電子メールを用いた授業の教育効果が高い、と答えた学生は、48.6%で、普通と答えた学生を除く興味がない学生の率は48.6%であった。その電子メールを用いた授業を実践すべきと思う学生は43%であり、そうは思わないと答えた学生は47.2%であった。この結果では、教育効果に関してたずねた質問とほぼ同じ率の回答が実践すべきかどうかの質問で得られた。

 

4.1.5      実習校のメディア環境の実態

 次に、実習校でのメディア環境の実態を見ていく。被調査者の方は、明海大学外国語学部英米語学科の教育実習に参加した学生である。


 今回実習に行かれた方に向けた質問は、「あなたの訪れた実習校のマルチメディア環境は整っていたと思いますか」と「あなたの訪れた実習校では、メディアを利用した教育活動(映画、ビデオ等のAV施設、パソコン、インターネット、LL)に積極的に取り組んでいると思いましたか」である。この2つを図に示したものが下図である。

 


図43 実習校のマルチメディア環境について

 

まず、マルチメディア環境いわゆる学校の設備だが整っていると思う学生は全体の36%であった。あまり思わない、まったく思わないでは、48%であった。私の訪れた実習校はコンピュータ自体旧式のものが十数台あっただけである。

今回の調査で得られた数字を見ると環境は整っているとは思わない方が48%と約半分いる。調査対象となった実習に行った学生が23名ということで母数が少なく信頼性の薄いデータではあるが、文部省が発表しているパソコン設置率、中学校99.8%、高等学校100%(         )という数字は端から見れば非常に進んでいるという印象を持つが、実際には急速に発展しているメディアにはまったく追いついていなく、ほんの一部の学校で新しいパソコンが採用され近未来的な学習(テレビ会議システムやネットワークを介した授業)が行われている。それがマス・メディアという非常に強力な媒体によって印象付けられている。

今回の調査結果は私が実習校で感じた疑問に答えを出してくれた。自分が行った母校だけでなく全国的に新旧のパソコンが入り乱れている状況がはっきりした。21世紀を担う児童・生徒らに5年前のパソコンで十分なメディアリテラシーを授けることなどできない。本当に日本の教育を考えるならばIT革命という言葉だけが先走るのではなく、もっと現状を考慮した上で2001年までにすべてのパソコンをネットワークさせる(2.1.1 メディアを用いた英語教育参照)、といってほしい。また、一人一台というように設備だけ整えても学校ひとつにつき管理を専門にできる教員を配置することも考えなくてはならない。なぜなら、現状ではパソコンなどのマルチメディアに詳しい教員が一校全体のシステムも任され大変な負担となっているからである。

メディアを用いた学習に積極的に取り組んでいる、と答えた学生は全体の24%にとどまった。また、あまり思わない、まったく思わない、を合計すると57%に上った。

まず、設備が整っている、と答えた学生が38%いたのに対し積極的に取り組んでいるは24%である。また、環境が整っていると強く思うと答えた学生が14%いたのに対し、積極的に取り組んでいると強く思う学生は5%であった。今回の質問では、「マルチメディア」を映画、ビデオ等のAV施設、パソコン、インターネット、LLと説明した。これは学校現場の状況を経験から想像した上で新旧のメディア教育に用いられるものをあげた。それでも整っているのは全体の38%である。その38%いた設備が整っている環境のある学校を含めそれらを積極的に活用してるか、というと24%なのである。最高の環境(14%)だが、積極的に取り組んでいると強く思うのは5%なのである。

 

第2節 研究課題検証

 次に、今回の論文の主要なテーマである研究課題の検証に移っていく。本論分で設定した研究課題は次のとおりである。

 

中学生対象の調査では次の二つの議題を中心に調査し考察する。

Research Question 1

コンピュータを使用したことのある生徒は8割以上いる。

Research Question

コンピュータを用いた学習に興味がある。

 

大学生対象の調査では次の二つの議題を中心に調査し考察する。

Research Question 3

パソコンの所持率、学習への利用は高い。

Research Question

インターネットや電子メールを教育活動で実践すべきであると考えている。

 以上が今回の論文で設定した研究課題である。はじめに、中学生を対象として設定した2つの研究課題についてみていく。

 

(1)            Research Question 1

「コンピュータを使用したことのある生徒は8割以上いる。」と設定したが、現代中学一年生はほぼ100%(99%)の生徒がパソコンを使用した経験をもっていた。これは今や家電製品店では、パソコンを大量陳列している現状や、学校などで何らかの形で触れていることがあげられる。生徒の話だが実際に学校の授業でインターネットを使った学生もいた。学校単位の設備や教員の力量・工夫・意欲で子供たちの将来が左右される現状である。ことメディアに関しては児童・生徒の強い関心をひきつけるものである。きちんとした活用法を身につけてもらいたい。

 

(2)            Research Question

 「コンピュータを用いた学習に興味がある。」と設定した研究課題については、中学校で行った調査で88.1%の学生が興味があると答えた。大変高い数字である。テレビをはじめ雑誌などでもパソコンという言葉はあふれているし、生徒らの家庭でもパソコンは身近にあるのだろう。このような状況では自然に興味・関心が湧くのではないだろうか。

 今回の調査ではそのパソコンについて学校で教えてほしいかどうかもたずねた。その結果86.1%もの学生が学校でパソコンを教わりたいと願っているのである。繰り返しになるが2004年度実施の高等学校の新学習指導要領で「情報」の授業が設けられるが、生徒らは興味・関心をすでに強く持ち実際に触れているのである。遅いのではないか。中学一年生の段階の調査で9割近い回答が得られているのである。

 また、今回の調査ではパソコンを使った授業について面白そうだと思うか、と尋ねてたところ、90.1%の生徒がはいと答えた。面白そうなのである。面白ければいいのかという考えもあるが、学習に意欲的に取り組む環境作りも大事である。小学校6年間で、教科書とにらめっこしてきた学生はこのようなある意味特殊な授業形態に刺激を感じるのである。その刺激を受けて得た興味・関心を持続させる必要もある。CAIなどで見られる穴埋め式の繰り返し練習ソフトなどでは、持続させることは無理である。この場合も今まで行われてきた通常の授業スタイルにおける教師のあり方となんら変わりはなく、やはり教師の力量・工夫・努力で乗り越えるしかない。ただ、メディアを用いることで紙面上の練習ではなく仮想現実での本当のコミュニケーションができるのである。

 

次に、大学生を対象として設定した残りの2つの研究課題について見ていく。

(3)            Research Question 3

 「パソコンの所持率、学習への利用は高い。」

 明海大学にて行った調査では、71%の学生がパソコンを持っていた。中学生の42%に比べると比較的高い数字だが、就職目前の大学生は社会で求められているパソコン・スキルを習得するために9割近い学生が所持しているのではないかと想像していた。聞いた話ではほかの大学では携帯電話は9割だったそうである。それにより休校の連絡も掲示板だけでなくメールを利用しているそうである。パソコン7割、携帯9割はどこからくるのだろうか。考えられることは予算の問題である。最近では安くなったとはいえ10万前後である。アルバイトをしても一月の余ったお金で買える金額ではない。

 

(4)            Research Question

 「インターネットや電子メールを教育活動で実践すべきであると考えている。」

 インターネットや電子メールを教育活動に実践すべきと考えている、と仮定した今回の調査では、両者とも実践すべきと答えた学生が50%前後の結果になった。

 


5章 結論

 

 本論文で私は英語教育とメディア教育の融合性を探るべく調査を行い研究を進めてきた。ここ数年来のマルチメディアの発展はすさまじく、私たちが日々接する情報量も飛躍的に上昇した結果、これららのメディアからの情報を有効活用するメディアリテラシー教育やパソコンをはじめとするマルチメディアを扱うことの出来るの応力の育成が急務であるといえる。

 

第1章において研究対象の基礎となる「メディア」「マルチメディア」「メディア教育」のそれぞれについて概念や変遷について説明を試みた。今回の研究対象となるメディアとは、「何かあるメッセージを発信するものとしてとらえれば何でもメディアと考えることができる」もので、そのメディアという枠組みの中の「マルチメディア」に主眼を置いてきた。マルチメディアとは、「コンピュータを利用して画像や音声などの様々なデータを統合・処理・管理すること」である。 そして、このメディアを用いた教育活動について説明してきた。今回の論文では、メディア教育の定義として佐賀(1998)が提唱している「第一の事態:メディアによる学習(Learning by media)、第2の事態:メディアを通した学習(Learning through media)、第3の事態:メディアについての学習(Learning about media)」の3種類に分類する定義に基づき進めていった。

 第2章において本研究のテーマである英語教育とメディア教育に融合について、過去の事例をもとにその利点や問題点などを文献やインターネットなどから調べ、研究課題を設定した。メディア教育と英語教育においては、英語教育では元来「読み、書き、聞く、話す」の4技能の習得が中心となり、その性質上古くからカセットテープ、ヘッドフォン、マイクロフォンなどを利用したLL(Language lavatory)機材を装備した教室で授業を行ってきた。そのメディアを用いた授業も1980年代より急速に発展したコンピュータの出現によりマルチメディアを利用した英語教育に変化してきた。英語教育においては、CALL(Computer assisted Language Learning)がコンピュータの発達とともに次々と新しいメディアを用いた教授法が編み出されていった。現在注目されているCALLの機能として「インターネット」や「E-mail」を英語教育に生かす試みがある。たとえば、電子メールによる文通活動やグループライティングを通してライティングの技能の向上を目指し、ニュースなどの購読によるリーディングの授業、米国大統領などの記録媒体をネット上から利用したりすることが挙げられる。

 また、この第2章において研究の目的を述べた。今回の研究の目的は次のとおりである。

 

今回の研究の目的は、以上のことを踏まえ次に挙げる研究課題を調査し、考察することである。そして、今回の研究を通してマルチメディア教育と英語教育の更なる融合への手掛かりとしたい。次代を担う児童・生徒たちに必ず必要で、そのスキルが日常として求められるメディアリテラシーを英語の学習を通して児童・生徒らに身につけてもらいたい。また、英語という点から見ても例えば、インターネットの世界では、世界中で7割ものサーバーがアメリカに設置され実質ともに英語という1言語が世界の人々の間でのコミュニケーション・ツールとして使われている現状がある。マルチメディアを利用した英語学習でメディアと言語を両方習得してもらいたいと願っている。

 

また、今回設定した研究課題は次の4つである。

中学生を対象として次の2つを設定した。

Research Question 1 コンピュータを使用したことのある生徒は8割以上いる。

Research Question 2: コンピュータを用いた学習に興味がある。

 

また、大学生を対象とした調査では次の2つを設定した。

Research Question 3: パソコンの所持率、学習への利用は高い。

Research Question 4: インターネットや電子メールを教育活動で実践すべきであると考えている。

 

これらの研究課題を検証するために質問紙による調査を行った。調査は本年度私が訪れた教育実習校の埼玉県三郷市立彦糸中学校の一学年の生徒101名を対象に実施したものと明海大学外国語学部英米語学科の学生72名を対象に調査を行った。調査内容は、中学校ではパソコンに関する簡単な意識調査を行い、明海大学ではメディアの教育利用についてたずね、研究課題の検証を進めていった。調査方法は、彦糸中学校では一学年の生徒を被調査者として調査を行い、調査票(質問紙)に被調査者が直接質問紙に回答を記入する「自記式」の「集合調査法」を用いた。今回の調査で3クラス、100件のデータを取り集計を行った。本調査の実施・回収期間は、2000612日かであった。一方、明海大学では、明海大学外国語学部英米語科の学生を被調査者として調査を行い、彦糸中学校と同じく調査票(質問紙)に被調査者が直接質問紙に回答を記入する「自記式」の「集合調査法」を用いた。今回の調査で3クラス、70件のデータを取り集計を行った。本調査の実施・回収期間は、2000103日であった。

質問紙は年齢、性別を確認し、彦糸中学校で行った調査では第一学年ということもあり生徒の負担を考慮し、コンピュータについて「はい・いいえ」でこたえられる単純なもので行った。明海大学では、最初にマス・メディアとの接触量を記入していただいた。次にメディア環境としてパソコンやパソコンを勉強に利用する課などたずねた。また、その次の設問でメディアの教育利用について5段階スケールを用いて該当個所に丸を記入させる方法を採用し、結果を5点尺度で集計した。集計作業は最初に彦糸中学校の結果を数値化し表計算ソフトに入力しグラフ化し、次に明海大学での結果も同じように入力しグラフ化した。

 

 質問紙を用いた今回の調査で、パソコンに興味がある中学生が101名中89(88.1%)いた。この結果により調査対象者中9割近い生徒がパソコンに対し興味・関心を抱いていることがわかった。 パソコンを使ったことや触れたことがある生徒が101名中、100(99.0%)いた。今回の調査対象者のうちほぼ全員が経験している大変高い数字である。そのパソコンを用いて101人中、61人が経験したインターネットが一番であった。生徒たちの6割がインターネットを経験している。

パソコンを持っている生徒は101人中、42名であった。また、インターネットや電子メールについて認知や経験については、インターネットが101人中、99(98.0%)のほぼ全員が知っていると答え、インターネットを使ったことがあるかを確認した調査では72(71%)が実際に使ったことがあると答えた。電子メールについては101人中、77(76.2%)の生徒が知っていると答えた。一方で電子メールの使用については、図11に見られるように101人中19(18.8%)に留まりインターネットに比べるとその経験が極端に低くなっている。

 また、彦糸中学校での調査の最後に生徒たちが授業にパソコンを用いることについて確認した。結果は、図12,13の通りである。学校でパソコンを教えてほしいと思う生徒は101人中87(86.1%)にであった。パソコンを使った授業は面白そうだと答えた生徒は101人中、91(90.0)であった。

次に明海大学で実施した調査では、学生の皆さんのパソコン使用暦を確認した。結果は図14 が示す通り比較的まばらにおついた感じであった。一番多かったのが全体の25%の半年未満であった。しかしながら1位とほぼ差がなく4年以上(23)が続き、そして2年以上3年半未満(19)3年以上4年未満(17)が続いた。平均は2.6ヶ月であった。パソコンを使用することに抵抗がある学生が14%いた。パソコンを持っている学生は72人中51名であった。インターネットの利用状況については、68%の学生が利用していると答えた。電子メールに関しては、アドレスを持っていると答えた学生が全体の55(76%)であった。これらのマルチメディアをレポートや論文に使用している割合は全体の90%であった。

マルチメディアと教育活動に関しては、マルチメディアを用いた教育活動に興味があると答えた学生が全体の51%いた。インターネットを教育活動に実践する際、教育効果が高いと思う学生が43%、インターネットを教育活動に実践すべきと答えた学生が46%いた。電子メールの教育活動に利用する際、教育効果が高いと思う学生は全体の48%であった。そしてこの電子メールを授業に実践すべきと考えている学生が47%いた。今後ますます英語やメディアの学習は必要になると考えている学生は全体の93%であった。

また、教育実習にいかれた学生の方20名を対象に答えていただいた質問では、実習校のマルチメディア環境について確認し、自分が訪れた実習校のマルチメディア環境は整っていたと答えた学生は38%であった。また、自分の訪れた実習校ではメディアを積極的に学習活動に利用してましたかとの質問に対し24%の学生が積極的に取り組んでいると答えた。

 

今回設定した研究課題に関して次のような結果が得られた。

パソコンを使用したことがある中学生は、101人中100名で、99.0%の生徒がパソコンに触れていた。「Research Question 1: コンピュータを使用したことのある生徒は8割以上いる。」を大きく上回る結果であった。パソコンを使った授業に興味がある生徒は101人中91名で、90.1%という結果となった。「Research Question 2: コンピュータを用いた学習に興味がある。」という研究課題に対しては生徒らは大変強い関心を示しているといえる。明海大学で行ったパソコンの所持に関する調査では72人中51(71%)が持っていると答え、比較的高い数字を示したといえる。「Research Question 3: パソコンの所持率、学習への利用は高い。」パソコンはなくともワープロを持っているという学生を含めたら非常に高い数字が出ていたかもしれないが、今回の調査では質問の不明確さでデータを得ることができなかった。「Research Question 4: インターネットや電子メールを教育活動で実践すべきであると考えている。」に対しては、全体の46,7%の学生が実践すべきと考えていた。今回の調査ではパソコン使用暦が被調査者の平均で2.6ヶ月と比較的長く、インターネットの使用についても68%の学生が使用しており、その便利性などを身をもって体験している結果といえる。

  私は今回の調査研究にて、従来より行われている英語教育に生徒の興味関心を引き出しつつ英語を習得することを目標に、メディア教育との間に接点を求め両者の融合を探ってきた。一見、英語教育とメディア教育にはさほど強い結びつきが見られないが、現在インターネットという世界中をつなげる強力なメディアが急成長している現状では両者は密接な関係になっている。それは、世界の共通語としての英語があり、インターネットの中心といっても過言ではないのがアメリカである事実があることからますます英語の重要性が高まるし、インターネットという強大なメディアの発達により個人が触れる情報量は増大の一方をたどりつつある。このような状況の中、英語教育とメディア教育の融合は今後一つ教育の方向性、キーワードになる。

 本論文の主要なテーマであるマルチメディアを用いた英語科の教育活動は、すでにさまざまな取り組みが世界中でなされていて、これらの実践からの長所・短所を洗い出し、新しい教育の方向性を探った。これらはの実践は、「第2章 問題の設定」において現在行われているマルチメディアを用いた英語科の教育活動を紹介し、インターネットや電子メールがこれからのメディアを用いた英語教育をリードしていく理由をいくつか挙げた。問題点もあるが、学習効果は期待できる。早稲田大学文学部情報化検討委員会(1998)に面白い事例が語られている。長くなるが事例を全文引用させていただく。

 

「こんな話がある。大の英語嫌い、定期テストでは毎回落第点すれすれの点数しか取れない高校生C君のエピソードだ。C君の英語の成績はいつも『2』、よくて『3』である。しかし、彼はそのことをとくに気にするでもなく、したがって英語を勉強しようなどという気は毛頭なかった。英語の授業中は居眠りをしているか、先生に指名されないようにとおとなしく下を向いているだけで、リーディングの予習などしたことすらなかった。

そのC君に『異変』が起こったのは、クリスマスに買ってもらった自宅のパソコンでインターネットをはじめるようになってからである。彼は、いわゆるモデルガン・マニア。モデルガンのことは日本では一部の限られた雑誌でしか知ることができない。でも、本場のアメリカのホームページになら、もっと面白い最新情報があるに違いない。そう考えた彼は、早速ネットサーフィンをはじめることになる。

ところが、当たり前のことだが、アメリカのホームページはすべて英語だ。最初は閉口したC君だったが、ただホームページの写真を眺めているだけではつまらない。最新のモデルの事を知りたさに、辞書を引き引き英語で書かれた説明文を呼んでみることにした。やってみると、これが案外おもしろい。学校でやらされる『訳読』とは大違いで、細かい文法など気にする必要もない。なんとなく意味がわかればそれでいいのだ。

モデルガンのページもあらかたは見つくしたところ、辞書を引く回数は格段に減っていた。最初のころは分からない単語をひとつひとつ調べていたのだが、それでは時間がかかって電話代がもったいないし、第一面倒くさい。いつしか文章の流れから全体の内容を把握して、よしとするようになっていたのだ。彼はその変化を自分ではあまり意識することなく、音楽やサッカーなどほかの興味あるホームページもどんどん読み進んでいくようになった。夜を徹し、嬉々としてパソコンに向かうC君の姿を見た両親は、学校の英語の勉強もこれくらい見を入れてやってくれればと思ったというが、図らずもその後の彼の英語の点数は驚くべきスピードで伸びていったのである。

一年後の昨年春、C君は大嫌いだった英語を一番の得意科目に変えて、大学への進学を果たした。彼は今でも『訳読』の授業が苦手だという。だが、英語力はかなり高い。はじめて受けたTOEFLでは570点をマークした。今年の夏、C君は環境学を学ぶためにアメリカの大学に留学することになっている。

 これについて、彼にとって英語を読むことは目的でなく、モデルガンのことを知るための手段に過ぎなかったからだろう。そうであったからこそ、知らず知らずのうちに、英文読解の基本スキルのひとつである『速読速解』を実践することになった。目的を持って英語に接することが以下に大切か−」、と述べている。

 長文の引用となってしまったが、このエピソードの信憑性などは不明であるが多少デフォルメはされていると理解し読んでも興味・関心が学習効果を変える事がよく分かる事例である。興味・関心が湧いてなければどんな学習も受け身となり結果的にそれが押し付けとなる。自ら積極的に学ぶためには興味・関心を植え付けることが重要である。その興味・関心を喚起するために一役買うのがメディア教育ではないだろうか。教員側のメディアの利用・運用しだいで、生徒の英語の学習に対する強い動機付けが可能である。

 英語の教授方法は数多く存在し、それらの中から児童・生徒の状況に合わせた指導法が選択できればよいと考える。それぞれの指導法はメッリト・デメリットの両面をもっている。使用する側の力量ひとつで良くも悪くもなりえる。

「第2章 問題の設定」において、多くの事例で見てきたようにメディアと英語教育の融合は、解決しなければならない問題点はまだまだ多数あるものの、その教育効果は非常に高い。今後さらにインターネットの世界が広がり(1999年、我が国のインターネット利用者は2706万人。2005年には7670万人に上昇すると予測されている。 郵政省(2000) 通信白書 平成12)、メディア教育と英語教育はさらに重要なかぎを握ることになる。教員の再教育や情報担当教員の配置などを早急に整備しなくてはならない。また、私の行った実習校のように、名目上はコンピュータは導入されているが実際の設備が整っていない学校はまだまだ多い(4.1.5 実習校のメディア環境 参照)。今後は、設備面も再検討を行い十分に予算を費やし情報化に対応できる設備に変わっていってほしい。 

 

 今回、この論文の作成を通して、具体的にどのようにメディアと英語教育を行うかの方策がはっきりしてきたのは成果である。自分自身大変興味がある分野で研究できたことや、科目履修生という立場上学部時代よりも時間があり、ここまで書くことができた。今回の論文のテーマは在学中の4年次より暖めていたテーマで、準備が早く実習中にもアンケートを取ることができた。また、時間があったことにより、文献を調査する時間も多く取れた。しかしながら反省点も多い。明海大学、彦糸中学校の両校で行ったアンケートとも試験を行わずに一回で行ったため、質問にあいまいな点や関連性の薄い質問などがあった。また、調査結果を統計学的に分析する予定でもいたが、質問の設定が悪く、意識調査の段階にとどまってしまったのは大変残念である。次回の反省点としたい。

 最後になるが、学部在学中の卒業論文の経験が今回の論文作成にもつながった。今後も教員を目指し、いつの日か教員となり、そして大学院にて英語教育の研究ができる日を胸にこれからも成長していきたい。わたしは、教員として一番大事なことは工夫と努力であると考えている。常に新しいものにチャレンジする気持ちを持ち、生徒らの将来を見据えて教育活動に従事できればと願っている。


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付録T (調査票)

1.埼玉県三郷市立彦糸中学校 1学年 平成12年6月13日実施

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2.明海大学外国語学部英米語学科 平成12年10月18日実施

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

付録U 卒業論文修了論文 CDROM

 

こちらのCD-ROMは、今回作成した論文をCDROMに収録しております。

 また論文だけでなく、私が今まで利用させていただいた便利な英語学習サイトのリンク集やオンライン・ソフトウェアーへのリンクもあります。こちらものぞいてみて下さい。